舌下免疫療法とは
スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の治療法のひとつに、アレルゲン免疫療法(減感作療法)があります。アレルゲン免疫療法は、アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与することで体をアレルゲンに慣らし、症状を和らげたり、根本的な体質改善が期待できる治療法です。近年では治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場し、自宅で服用できるようになりました。
舌下免疫療法を希望される方へ
- アレルギー症状を治したり、長期にわたり症状をおさえる可能性のある治療法です。 完全に症状がおさえられない場合でも、症状を和らげ、薬の使用量を減らすことも期待できます。
- アレルゲンを投与することから局所や全身のアレルギー反応がおこるおそれがあり、 まれに重篤な症状が発現するおそれがあります。
- 定期的な受診が必要です。
- 治療期間は3~5年が推奨されます。 正しく治療が行われると、治療を開始して数ヵ月後から効果が期待されます。長期継続することで根本的な体質改善が期待できます。
- 治療の対象
- スギ花粉症またはダニによる通年性アレルギー性鼻炎と確定診断された方が舌下免疫療法を受けることができます。スギとダニ両方の治療を並行して行うことも可能です。特に、根本的な治療を希望する方、アレルギーの治療薬を減らしたい方、将来的に妊娠出産を希望の女性の方にお勧めします。
- 治療が受けられない方
- 重度の気管支喘息、悪性腫瘍、又は免疫系に影響を及ぼす全身性疾患のある方は受けられません。
- 治療の効果
- 全ての患者さんに効果があるわけではなく、治療をした患者さんの約2割が花粉症の完治、約3割が大きく改善され花粉症薬の薬が激減した、約3割で症状はあるが改善された、約1~2割で治療効果がないという臨床試験の結果があります(約8割の方に効果があります)。
- 治療の開始時期
- スギ花粉舌下錠は、スギ・ヒノキ花粉飛散期は避け、6月から11月の間に開始できます。ダニ舌下錠は、時期の制限はなくいつでも開始できます。
- 治療の期間
- 長期間の継続治療が必要となります。 まず、約2年間治療を継続して効果を確認する必要があります。 その間で効果が出た患者さんには、計3~5年の治療が勧められます。
- 治療の方法
- 毎日1回、舌の下に薬を置き、舌の下に薬を1分間保持し(すぐに溶けます)、その後飲み込みます。 服薬後5分間はうがい・飲食を避け、服用前後2時間程度は激しい運動や入浴、飲酒を避ける必要があります。
- 副作用
- 主な副作用は、口の中の副作用(口の中の腫れ、痒み、不快感、違和感)や唇の腫れ、喉のかゆみ、耳のかゆみなどです。いずれも軽い症状で一時的であることが多く、ほとんどの方は徐々に軽快します。きわめて稀にアナフィラキシーが起こる可能性があります。副作用が持続するときや全身症状が出た時は早めに相談してください。
- 内服しない方が良い時
- 喘息発作時、急性感染症罹患時や体調が悪い時、抜歯後等口腔内の術後又は口腔内に傷や炎症等がある時は内服しないでください。体調回復後に中止前の容量を再開してください。
- 服用を間違えた時
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- 誤って多く服用してしまった時:直ちに吐き出し、うがいをしてください。翌日、改めて前日の用量を服用してください。
- 1分間保持できず、飲み込んでしまった時: その日は再度服用しないでください。翌日、改めて前日の用量を服用してください。
- 服用し忘れた時:その日のうちに気がついた場合、その日の用量を服用してください。翌日に気がついた場合、前日の用量を服用してください。
- 服用したか不確かな時:その日は服用しないでください。
- 治療の費用
- 健康保険の診療が可能です。 初回は検査などを含めて3割負担の場合、7,000~8,000円で、その後の定期的な通院の費用は他の治療や薬の処方がない場合には、病院の治療費と薬局での薬代と合わせて1ヵ月あたり3,000~4,000円の負担となります。
- 服薬のスケジュール
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- 採血をしてスギ花粉症であることを確認します。
- 初回は院内で内服し、約30分間副作用が出ないか経過をみます。
- 1週間は、低用量(2000JAUのシダキュアまたは3300JAUのミティキュア)を1日1回1錠内服します。
- 2週目からは、高用量(5000JAUのシダキュアまたは10000JAUのミティキュア)を1日1回1錠内服します。
- 副作用など問題なければ、1か月に1回程度定期的に外来を受診します。
参考
ミシン目にそって、しっかりと折り曲げ、切り離してください。
うら面の「はがす」部分からはがしてください。お薬がやわらかく、割れることがあるため、シートをはがさずに押し出さないでください。
爪を立てずに指の腹で下から押して、お薬を取り出してください。欠けたり割れたりした場合、それらも一緒に服用してください。
舌の下にお薬を置き、1分間保持した後、飲み込んでください。
舌の下に置くとすぐ唾液で溶けてなくなりますが、唾液はすぐに飲み込まず、1分間舌の下に保持してください。
その後5分間は、うがいや飲食をしないでください。